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「お父さん、桜はね、来年も私達に幸せを届けるために散るんだよ!だからね、次の春になったら、お母さんにも桜を見せてあげたらいいと思う!」  私はお父さんの方へ身を乗り出しながら、元気に力説する。  そしたら、お父さんは優しく微笑みながら、私の頭を撫でてくれた。 「そうだな。来年が楽しみだ。その時は、春花も一緒に見よう」 「うん。また桜が咲くの、楽しみだね!」  私は、にぃっと笑いながら頷く。  来年の桜は、お母さんとも一緒に見たいな。  ううん、お母さんだけじゃなく、お父さんと、おばあちゃんと……それから、千秋くんと夏実さんと、眞冬くんとも!ふふっ、楽しみ!  私が次の春の楽しみを妄想していたら、駅に電車が走ってくる音がした。 「あ!電車、来た!」  私はぴょんっとベンチから立ち上がって、ある人を探すために、駅の改札口に走っていく。  改札を通ってくる大勢の人の中で、私は背伸びをしながら、銀髪の女の人を探した。 「うーん、どこかな……。あ!」  改札から出てくる人が何人も通り過ぎた後。一番最後に改札を通ってきた、背の高い銀髪の女の人が、私に向かって嬉しそうに手を振っていたんだ。
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