4

6/8
前へ
/141ページ
次へ
 私はお母さんにくっつきながら、明るい笑顔でその顔を見上げる。  キラキラしたアイスブルーの瞳と、色白で透き通った肌。雪みたいに綺麗な、私のお母さん。  見た目だけじゃなくて、心も水晶みたいに綺麗で優しい、私のお母さん。  私の見た目は、あんまりお母さんには似てないんだけど、心の方だけでも、お母さんみたいになりたいなって思うんだ。 「あのね、私もお母さんみたいになりたい!」 「あら……、ふふっ、そうなの。春花も画家になりたいの?」 「ううん。画家かどうかは分からないけど、お母さんみたいに綺麗になりたいなって思ったの。優しくて、すっごく綺麗なお母さんみたいになりたい」 私がそう言うと、お母さんは幸せそうに目を細めて、私の頭を撫でてくれた。 「なれるわよ。春花なら、お母さんよりもっと素敵になれる。春花がどんな大人になるのか、お母さん、とっても楽しみなのよ」 「お母さん……」 「だからね、お母さんに教えて?春花は、将来、何になりたいの?」  将来、何になりたいの……。そう聞かれて、私は小さく首を傾げる。  今まで、自分の将来の夢を聞かれたら、「桜」って答えてた。  でも、お母さんが聞いてるのは、そういうことじゃなくて……お仕事のことだと思う。さっき、私に画家になりたいのか聞いてたし。  将来の夢か……今まで、考えたこと無かったな。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加