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「ごめんね、お母さん。私、分からない……」
うまく答えられなくて、私はしょんぼりと俯く。
もう2年生なのに、将来のこと、全然考えてなかった。
私、このままだと、何にもなれないのかな……?
そう思ったら、心配で胸が締めつけられた。
私が胸を押さえて黙っていると、突然、お母さんの静かな笑い声が聞こえたんだ。
「お母さん、何で笑ってるの?」
「ああ、素敵なことだなって思ったの」
「素敵なこと……?」
私が首を傾げると、お母さんは私の頬を両手で包んで微笑んだ。
「だって、夢が決まってないってことは、これから何にでもなれるってことでしょ?すごく素敵じゃない」
「何にでも、なれる……?」
「そう。春花は何にでもなれるのよ」
何にでもなれる。……私、何にでもなれるんだ!
それに気づいて、私は表情を明るくした。
「私、いっぱい考える!将来何になりたいか、いっぱい考えて……お母さんみたいな、優しいお母さんになりたい!」
「あら……ふふっ、春花は誰と結婚するのかしら」
「えーっとね、それはね……」
私は周りの男の子のことを考えて……、首をこてんと傾げた。
「誰だろう?」
「ふふっ、まだ決まってないのね」
お母さんはクスリと笑って、私の頭を撫でながら
「案外、近くにいるかもよ?」
って、微笑んだ。
「近く?近くかあ……」
私は腕を組みながら、自分の近くにいる男の子のことを考える。
そしたら、ふと思い浮かんだんだ。この前、私と手を繋いで励ましてくれた千秋くんのこと。
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