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 私の一番近くにいるのは、多分千秋くんだ。  じゃあ、私……千秋くんのお嫁さんになるの? 「……千秋くんのお嫁さんかあ」  私がボソッと呟いたのを、お母さんは聞き逃さなかった。 「千秋くんって、さっきお話してくれた子よね!?もしかして、春花……千秋くんのこと好きなの?」  キラキラした目を私に向けるお母さん。私には、お母さんが、どうしてそんなに楽しそうなのか、よく分からなかったけど……。 「うん。私、千秋くんのこと、好きだよ?」  千秋くんのことが好きなのは本当だし、私はしっかりと頷く。 「そうなのね……!ふふっ、これから先が楽しみだわあ」  なぜか嬉しそうな顔をするお母さんを不思議に思いつつ、お母さんが笑ってくれたのが嬉しかった私は、なんとなく笑顔を浮かべた。  この時は、まだ分からなかったんだ。「好き」って言葉の意味。  私が「好き」の特別な意味を知ったのは、何年も何年も後のこと。  もっと早く知れてたらって、私、心の底から思うよ。  もっと早く……あなたが好きだって、言えてたらよかったな。
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