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 お母さんが帰ってきて、しばらくしたある日の放課後。ランドセルに荷物を詰めて帰り支度をする私に向かって、眞冬くんが一枚の紙を押し付けてきた。 「春花、これ書いてくんね?」 「え?何これ……」  私はとりあえず、押し付けられた紙を確認する。  それは、バインダーに挟める穴が開いてある、可愛い水玉模様の、手帳サイズの固めの紙だった。名前とか、好きなものを書く欄がたくさんある。  これ、もしかして……最近クラスで流行ってるプロフィール帳? 「眞冬くんもプロフィール帳、集めてるの?」 「あー……まあ、妹がくれてさ。そのまま使わないのも勿体ないし。別に、流行に乗る訳じゃねえけどさ」 「そっかあ。ふふっ。眞冬くんがプロフィール帳持ってくるなんて、意外だね!」  私がクスリと笑うと、眞冬くんは顔を赤くして私を睨む。 「……ったく、どーせ俺には似合わないですよー。こういう女子みたいな可愛いモン」
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