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* * *  夏実さんと一緒にやって来たのは、商店街にある可愛い雑貨屋さん。ピンクの壁紙でファンシーな雰囲気のお店の中には、棚いっぱいに動物の雑貨が並んでいる。  ぬいぐるみ、マグカップ、それから、お手頃なメイク道具……。色々な雑貨を見ながら、私達は文房具が並べられている棚の前にやって来た。 「えーっと……、あった!」  私は棚に置かれていたプロフィール帳の中から、ピンクの桜柄のものを手に取った。  中身をパラパラとめくってみると、三種類の桜柄の可愛い用紙が入っている。  これ、すっごくいいなあ。……うん、これにしよう! 「北原さん、決まった?」 「うん!これ、買ってくるね。あ、夏実さんは何か買うの?」 「私?私は……」  夏実さんは、棚からオレンジ色のレターセットを手に取って頷く。 「これ、買おうかな」 「レターセット……?誰かにお手紙書くの?」 「うん。お父さんに書こうかなって。今、遠くにいるから」
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