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仲良くなりたいって、思ってるだけじゃダメだもの。相手を困らせたくないからって、遠慮してたら何も変わらない。
大事なのは、気持ちを伝えること。
相手を大切に思う気持ちは、きっとその人にも伝わるから。
だから、夏実さんに、私を頼って欲しいことを伝えようって思ったんだ。
「北原さん……」
夏実さんは少し驚いた顔をしていたけど、やがて、夕日の光みたいに優しい笑顔を見せてくれた。
「ありがとう。嬉しいよ」
「ふふっ、うん!……あ、そうだ!」
私は夏実さんの手をほどいて、カバンにしまった桜のプロフィール帳から、1枚用紙を外して、彼女に手渡した。
「1枚目、夏実さんに書いてほしいの!私、夏実さんともっと仲良くなりたいんだ!」
「あ……、私でいいの?」
「うん!書いてくれる?」
「もちろんだよ。ふふっ、北原さんの1枚目が私かあ。眞冬と志野くんには悪いけど、嬉しいよ」
夏実さんは、ふにゃりと頬を緩めながら私が渡した用紙を見つめる。
その表情が、本当に嬉しそうだったから……つい、私の頬っぺたも緩んじゃった。
明日、プロフィール帳を書いてもらえるのが楽しみだな。
あ!私もみんなに書かないと。
帰ったら、いっぱいいっぱい自分のことを書いて、みんなともっと仲良くなるんだ。ふふっ、楽しみ!
私は真新しいプロフィール帳を大事に持ちながら、みんなともっと仲良くなれる明日を想像して、ニンマリと笑みを浮かべた。
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