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* * *  その日の夜、私はリビングのテーブルで、眞冬くんから貰ったプロフィール帳を書いていた。  名前や住んでるところ、それから、血液型とか、電話番号……。分からない部分は飛ばしながら、私はどんどん書き進めていく。 「……えーっと、あ、裏にもある!」  用紙を裏返して、なんて書いてあるのか確認すると、「あなたの事を教えて!」って書いてある項目に、好きなことを書く欄があった。 「えっと、好きなことは友達と遊ぶことで、好きな食べ物はおばあちゃんが作ってくれるクッキーでしょ。えっと、それから…………」  次の項目を見た時に、順調に書き進めていた私の手が止まった。 「好きな人?」  好きな人……。好きな人か。いっぱいいるなぁ。お父さんでしょ、お母さんでしょ、それからおばあちゃんと、友達のみんなと…………。  でも、書く場所が小さくて、1人の名前しか入らないよ。 「どうしよう……」  私が腕を組んで困り眉になっていると、リビングの扉が開いて、お母さんがやって来た。 「春花、何書いてるの?」 「プロフィール帳!友達から貰ったの」 「そうなの。覗いてもいい?」 「うん!いいよ」  お母さんは私の隣に座って、キラキラした長い銀髪を耳にかけながら、私のプロフィール帳を覗き込む。
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