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「痛た…………くない?なんで?」
全身を投げ出すように転んだのに、どこも痛くないし、それだけじゃなくて、床の冷たさも感じない。
「……っ、春花、降りろ」
「え?」
「今すぐ、降りろ!」
私が上半身を起こすと、私の下に、真っ赤な顔の眞冬くんが倒れていた。
そっか!眞冬くんが下敷きになってくれたから、私、痛くなかったんだ!
「ご、ごめんね!すぐ降りるね!」
私は慌てて眞冬くんの上から退くと、彼の顔を覗き込む。
眞冬くんの顔は、リンゴみたいに真っ赤だった。うう、これは怒らせちゃったよね……。
「あの、眞冬くん……」
私が顔色を窺っていると、眞冬くんは黙って起き上がり、深いため息をついた。
「春花、あのなあ……」
「な、なんでしょうか……」
申し訳なさのあまり敬語になる私を、眞冬くんは赤い顔で睨みつける。
「……足元、気を付けろ」
「ご、ごめん……なさい。気を付けます」
「はあ……、分かったならいい。プロフィール帳見せるの、楽しみにしてくれたのは、俺にも『読めてる』し……」
「あ、そうだ!プロフィール帳、書いてきたよ!」
眞冬くんの言葉を聞いた私はハッとして、両手で持っていたプロフィール帳を差し出そうとした。
……でも。
「……あれ?」
無い。プロフィール帳、無い!
転んだ時に落としちゃったのかな!?ど、どこに……。
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