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「眞冬くんが、私のこと考えてくれるのが嬉しかったんだよ!ちゃんと仲良くなれたんだなって思ったら、嬉しくて……!」
「春花……」
私が泣きじゃくっていると、眞冬くんは私の頭をポンポンと軽く撫でて、「仕方ないな」とでも言いたそうな笑顔を見せた。
「たく、ほっとけねえ奴だな。……俺も嬉しかったっての」
「え……?」
「くしゃくしゃでも、汚くても、いいんだ。お前が……大事な友達が書いてくれたものなら、なんだって嬉しいんだよ。俺はな」
眞冬くんはそう言って微笑むと、プロフィール帳を片手にスタスタと自分の席に歩いて行く。
その後ろ姿が……ちょっと、かっこいいなって思った。
午前7時半のチャイムが鳴る。
私はしばらく、眞冬くんのことを見つめていた。
「……春花ちゃん?」
声を掛けられて振り向くと、そこには不思議そうな顔をした千秋くんが立っていた。
「あ、千秋くん!おはよ!」
「ああ……うん、おはよう」
千秋くんは、挨拶をしてすぐに目を伏せてしまう。
あれ?今日の千秋くん、なんだか元気がないような……。
「千秋くん、どうかした?」
「う、ううん!なんでも、ない……」
千秋くんは首をブンブンと横に振ると、速足で眞冬くんの後ろにある自分の席へと歩いていった。
「千秋くん……?」
私は首を傾げながら、千秋くんが歩いていくのを遠くから見つめる。
なんでもないって言ってたけど、千秋くん、何かあったように見えた。
もし何か悩んでるなら、力になってあげたいな……。後で聞いてみよう!
私はそう決めて、自分の席に戻った。
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