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遊具の下には、身体から血を流して倒れてる子どもが複数いた。周囲の人間を殺戮し尽くした高次元生物は……私たちに狙いを定めて、こちらに近寄ってくる。
「う、うぁ……」
千秋くんが、私の手を握ったまま後ずさる。その手から、震えが伝わってきた。
怖い……怖い…………!
「グォォォ!!」
高次元生物が、ギョロリとした一つ目を赤く光らせる。
すると、足がすくんで動けなくなってしまっている私達に向かって、相手の腕から、銀色の『大針』が発射された。
高次元生物から放たれたそれは、離れた場所から見ても、大きくて鋭くて……あんなの食らったら、死んじゃうってすぐ分かった。
……私、殺されちゃうんだ。そう思った……けど。
「誰か、たす、けて…………!」
千秋くんの、か細い声が耳に入った、その瞬間……私の心の中の桜が、花を咲かせた。
守る。守る……!千秋くんのこと、守らなきゃ!
「『桜』ー!!」
私が咄嗟に発動した、『桜吹雪』。それは、私達を守るように吹き荒れ……相手の『針』を吸収して、跡形もなく、消した。
「っ…………、え……?」
何が起きたのか分からず、呆然とする千秋くんの手を、しっかりと握り直して、私は微笑む。
「私が守るよ。絶対、絶対……守るから!」
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