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スタスタと教室の中に入り、春花ちゃんに歩み寄る。
「……春花ちゃん?」
平静を装いながら声をかけた僕に対して、春花ちゃんはいつものように明るい笑顔を見せる。今日も……今日も、眩しい。
やっぱり……春花ちゃんは、お日様みたいな子だ。みんなを照らす、お日様みたいな子……。
「あ、千秋くん!おはよ!」
この笑顔を独り占めできたらいいのに。
そんなこと、僕にはできやしないんだろうけど。
「ああ……うん。おはよう」
春花ちゃんの顔を見るのが辛くて、僕は思わず目を伏せる。
「千秋くん、どうかした……?」
春花ちゃんは不思議そうな声で僕に尋ねた。
いけない。この気持ち、知られたくない……。
もし、こんな気持ち抱えてるってバレたら、春花ちゃんもきっと僕のことが嫌いになってしまうから。
それだけは嫌だった。
僕は慌てて、首をブンブンと横に振る。
「う、ううん!なんでも、ない……」
このドロドロした気持ちを悟られる前に、僕は早足で自分の席に向かった。
眞冬くんの席の横を歩き、僕は静かに着席する。
ランドセルの中身を片付ける前も、その後も……僕は、眞冬くんに声を掛けなかった。
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