5.5-1 千秋の気持ち

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 スタスタと教室の中に入り、春花ちゃんに歩み寄る。 「……春花ちゃん?」  平静を装いながら声をかけた僕に対して、春花ちゃんはいつものように明るい笑顔を見せる。今日も……今日も、眩しい。  やっぱり……春花ちゃんは、お日様みたいな子だ。みんなを照らす、お日様みたいな子……。 「あ、千秋くん!おはよ!」  この笑顔を独り占めできたらいいのに。  そんなこと、僕にはできやしないんだろうけど。 「ああ……うん。おはよう」  春花ちゃんの顔を見るのが辛くて、僕は思わず目を伏せる。 「千秋くん、どうかした……?」  春花ちゃんは不思議そうな声で僕に尋ねた。  いけない。この気持ち、知られたくない……。  もし、こんな気持ち抱えてるってバレたら、春花ちゃんもきっと僕のことが嫌いになってしまうから。  それだけは嫌だった。  僕は慌てて、首をブンブンと横に振る。 「う、ううん!なんでも、ない……」  このドロドロした気持ちを悟られる前に、僕は早足で自分の席に向かった。  眞冬くんの席の横を歩き、僕は静かに着席する。  ランドセルの中身を片付ける前も、その後も……僕は、眞冬くんに声を掛けなかった。
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