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俺は折れたプロフィール帳を伸ばして、バインダーに入れる。
真新しいプロフィール帳の、1ページ目。1番最初に春花に書いてもらおうと思ったのは、きっと、俺にとって、少なからず春花が特別だからだ。
太陽みたいに温かくて、春の日差しのように優しい春花。あいつのこと、もっと知りたい。もっと、親しくなりたい。そう思わずにはいられなかった。
この気持ちの名前なんて、知らねぇし知ろうとも思わねぇけどさ。
父さんと母さんみたいにはなりたくねぇけど……春花とは、これから先も一緒にいたいって思ってんだ。
俺はプロフィール帳を閉じ、机の中にしまった。
代わりに、1時間目の算数の教科書を机の上に出す。前の授業のノートをパラパラと見返していると、不意に、脳内に誰かの声が響いてきた。
──春花ちゃんの1番になりたい。
「え……?」
──春花ちゃんが、僕にだけ、笑ってくれればいいのに……。
暗く沈んだ声。この声は……転校生の?
俺はチラリと後ろを振り返って、転校生の顔を見た。
刹那、転校生の中の黒い感情が、俺の頭にベッタリと闇を塗りつける。
俺はその重苦しさに耐えきれなくて、慌てて前を向いた。
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