5.5-2 眞冬の気持ち

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「ち、ちょっと!全然大丈夫じゃないじゃない!」  夏実が慌てて駆け寄る音がする。 「体、起こせる?立てる?」  優しく体を支えられ、俺はふらりと立ち上がった。 「やっぱり、一緒に行こう。放っておくと、眞冬は絶対無理するから」 「……うん。ごめん」 「謝らなくていいよ。ほら、ゆっくりでいいから」  夏実はそう優しく声をかけて、俺に合わせて歩き始めた。  夏実の家で世話してる薔薇の香りが、俺の鼻腔をくすぐる。いつだってそうだ。夏実は、花の優しい香りがした。  その香りを嗅ぐ度に、何故か安心して眠くなるんだ。  きっと、幼稚園に通っていた頃から、あいつの隣で昼寝をしていたからだと思う。  あの頃は、ほんと楽しかったな……。 「眞冬、着いたよ」  夏実は俺に声をかけながら、保健室の扉をノックする。 「すみません、具合が悪い人がいて……」  夏実が声をかけると、保健室の中から、年配の女の先生が出てきた。 「はーい。あら、眞冬くん?顔色悪いわね……お熱測ろうね」 「……はい」  俺は先生の手を借りながら、ふらふらと保健室の椅子に座った。
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