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 午前中の授業が終わって、やっと給食の時間がやってきた。私は、後ろの席の夏実さんと千秋くんの机と自分の机をくっつけて、配膳してもらった給食のカレーをその上に置く。  席に着く前に、私はちらりと眞冬くんの席を見た。机の上には、1時間目に使われるはずだった算数のノートが出しっぱなしで、机の脇には歯ブラシとコップが入った袋がさがったままになってる。  道具は置かれているのに、眞冬くんの姿だけが無い。  夏実さんから聞いた話によると、具合が悪くて保健室で休んでるみたい。……まだ良くなってないのかな。 「眞冬くん、大丈夫かな……」  私が呟くと、夏実さんが自分の席から私に声を掛けてくれた。 「……眞冬、アビリティのせいで体調崩すことがあるみたいなんだ。だから、病気とかじゃないと思う。あんまり心配しないで」 「そうなんだ……。眞冬くん、アビリティが抑えられないっていってたもんね」 「うん。強すぎる気持ちを『読む』と、具合が悪くなるって、前に教えてもらったんだ。悪い気持ちを『読んで』ないといいんだけど……」  そこまで言って、夏実さんは表情を曇らせる。
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