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少し前までは、クラスのみんなに馴染めなくて、孤立していた眞冬くん。クラスの子達も、みんな眞冬くんを怖がってて、よく思ってなかった。
最近は、眞冬くんも他の子達とお話するようになってきたけど……まだ眞冬くんを嫌っている人がいるかどうか、少し心配。
眞冬くん、誰かに傷つけられたりしてないといいんだけど……。
「心配だね……ね、千秋くん」
私が千秋くんに声をかけると、彼はビクリと体をすくめた。
「っ……、え?春花ちゃん、何……?」
「あ……眞冬くんが心配だねって話だよ」
「ああ……うん。そう、だね」
千秋くんは短く答えると、目を伏せる。
千秋くん、やっぱり様子がおかしい。絶対、ぜーったい、何かあったんだ。
「千秋くん、大丈夫?何かあった?」
「……う、ううん。大丈夫だよ」
「そう……?」
「うん。……そうだよ」
千秋くんはそう言うと、なにかを誤魔化すような笑顔を見せた。
千秋くん、絶対、何か抱えてる。でも、それは私には言えないことなのかな……。
力になりたいけど、力になれない。
それがもどかしくて、私は唇を噛んだ。
「全員、給食を貰いましたね。日直さん、お昼のご挨拶して」
先生に声をかけられ、日直の子が立ち上がる。
「いただきます」という号令に合わせて、私も手を合わせた。
スプーンを手に取り、カレーライスを掬い取る。
とっても大好きなはずのカレーが、今日はなぜだか美味しく感じられなかった。
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