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* * *  眞冬くんと千秋くんのことが気になって、ぼんやりしてたら、あっという間に放課後になっちゃった。  私は、さっき先生から配られた学級通信をファイルの中にしまう。  ちらりと彼の机を見ると、出しっぱなしだった荷物はすっかり片付いていた。さげっぱなしだった歯ブラシとコップが入った袋もない。  午後の授業が始まる直前に、保健室の先生が全部ランドセルに纏めて持って行っちゃったんだ。やっぱり眞冬くん、今日はもう帰っちゃったみたい。  明日になったら、元気になってるかな?心配だな。  朝はそこまで体調が悪そうに見えなかったし、夏実さんが言う通り、強い気持ちを『読んで』しまったのかもしれない。  そうだとしたら、眞冬くんはきっと傷ついてる。きっと、苦しんでる……。  彼の気持ちを想像して、胸が痛くなった私は、思わずファイルを持つ手に力を入れた。 「北原さん、ちょっといい?」  斜め後ろの席から、夏実さんが真面目な顔で歩み寄ってきた。 「夏実さん……?」 「あの、眞冬のことなんだけど……もし時間があったら、一緒にお見舞いに行かない?」 「お見舞い?」 「うん。ちょっと心配で。気持ち、追い詰められてないかなって……」  夏実さんはそこまで言うと、目を伏せる。
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