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「春花ちゃん……」  千秋くんの、私を見る瞳が揺れる。千秋くんは、まだ震えている左手で、私の手を強く握り直し、高次元生物に向き直った。彼は、迫り来る高次元生物を強く睨みつけて……右手を、突き出す。 「燃えろっ!!」  千秋くんの声に呼応して、彼の手の平から赤くて激しい炎が巻き起こる。炎の渦は高次元生物を包むと、それの身体に纏わりつきながらメラメラと舞い踊った。 「グ……グァァァ……!!」  化け物が燃え上がり、悶え苦しんでる。遠くの遊具には血まみれで倒れている子ども達だっていた。地獄みたいな、恐ろしい景色。  ……でも、何でかな。千秋くんが放った、赤い炎が燃え上がって揺らめく様が…………私の目には、すごく綺麗に映ったんだ。 「春花ちゃん、こっち……!」  炎に見とれて、ぼんやりとしてしまった私の手を、千秋くんが強く引く。  そ、そうだ。今は、逃げなきゃ! 「あっ……、うん!」  私は千秋くんと一緒に、急いで公園から離れた。
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