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夏実さんも、きっと私と同じ気持ちなんだ。
眞冬くんが、誰かに傷つけられてないか、心配なんだ……。
私はしっかり頷いて、答える。
「うん。行く!眞冬くんのお見舞い、行きたい!」
「良かった。じゃあ、私案内するね。あ、志野くんも一緒にどうかな?」
夏実さんは後ろを振り返って、黒いランドセルを背負った千秋くんに声をかけた。
すると千秋くんは、スっと目を逸らしてしまう。
千秋くん、どうしたんだろ。行きたくないのかな……?
でも、千秋くんも一緒だったら、眞冬くんも喜ぶよね。友達みんなで会った方が、元気になれるよね。
私は千秋くんに駆け寄って、その手を握った。
千秋くんの目が、まん丸になってこちらに向けられる。
私はその目をしっかり見つめながら、千秋くんを一生懸命誘った。
「千秋くんも、行こ!行ったら、眞冬くんも喜ぶよ!」
「っ……、眞冬くんも、喜ぶ?」
「そうそう!私、みんなで一緒に行きたい!千秋くん、一緒に行こう?」
私が真剣にお願いすると、千秋くんは少し俯いて……やがて、小さく頷いてくれた。
「……分かった」
「ありがとう!じゃあ、早速行こ!」
私は千秋くんの手をしっかり握って、教室を飛び出した。
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