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眞冬くんと高次元生物の距離が縮まっていく。高次元生物の腕が、眞冬くんに届く距離になる。
「グォォォ! 」
雄叫びを上げて、眞冬くんに腕を振り下ろす高次元生物。それを見て、私は思わず目をつぶった。
……そしたら。
「かかったわね。馬鹿なヤツ」
艶のある女の人の声が聞こえた。
その声が気になって、私は薄目を開ける。すると……青いマントを付けた、黒い制服のお姉さんが、高次元生物を棘のある蔦で貫いていた。
お姉さんが蔦を引き抜くと、高次元生物はその場に崩れ落ちて、グッタリと動かなくなった。
高次元生物の、お姉さんに貫かれた傷口から、赤黒い液体が漏れて血溜まりを作る。
それを見て初めて……私、助かったんだって思った。
「……ふー。任務完了!少年、ここを教えてくれてありがとね」
お姉さんは青色のメッシュが入った長い黒髪をかきあげ、眞冬くんに明るい笑顔を見せる。そして、私達の方に向き直り、こちらへ歩み寄ってくる。
「君達、大丈夫?怪我してない?」
「あ……へ、平気です!えっと……お姉さんは?」
私が尋ねると、お姉さんは優しく微笑んで答えてくれた。
「私、芽里奈よ。宇野芽里奈。特部って、高次元生物を退治してる組織にいんの。特部、知ってるよね?」
お姉さんの質問に、私は必死に頷く。
特部っていうのは、「特殊戦闘部隊」のこと。この世界を高次元生物から守ってくれている人達。戦いが強い人しか入れない凄腕の組織だって、学校で習った。
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