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「っ……、そ、それって」 「当然、な。お前が本気なの、『読めてる』から。だから……言いたいことは口で言えよ?暗い気持ちを抱えてぐるぐるしてる奴に、俺が負けるわけねえからな」  眞冬くんの言葉を聞いた千秋くんの顔が、ぼっと赤くなる。  2人とも、何の話してるんだろ?私が首を傾げると、眞冬くんはくすっと笑って千秋くんの手を強引に握る。 「今のところは互角みたいだぞ?……どういう形であれ、俺はあいつと一緒に居たい。この気持ち、譲らねえから」 「……ぼ、僕も!」  千秋くんは眞冬くんの手をしっかり握り返して、真剣な顔を眞冬くんに向けた。 「僕も……あの子の一番、譲らないから……、眞冬!」 「へっ、上等だ」  嬉しそうに、にいっとと笑う眞冬くんと、ちょっと力が入ってるけど、いい顔をしている千秋くん。  ふふっ、仲直りできたみたい!  私の隣で、夏実さんも優しい笑顔を浮かべてる。すっかり落ち着いたみたい。2人のお陰だね。  私は、夏実さんと顔を見合わせて、声を合わせて2人に声を掛けた。 「2人とも、ありがと!」  私達の言葉に、千秋くんも眞冬くんも、少し照れくさそうに笑って頷いてくれた。  少しずつ、仲良くなっていく私達。春は終わり、もうすぐ夏が来る。  今年の夏は……ううん、夏だけじゃない。秋も、冬も……きっと、とっても楽しくなる。そんな予感と共に、爽やかな潮風が吹き抜けた。
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