6.5 助けに来るまで

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6.5 助けに来るまで

 午後の授業が始まってすぐ。体調が良くならなかった俺は、結局、施設の兄ちゃんに迎えに来てもらって、学校を早退した。 「眞冬、うち着いたぞ」  施設のシルバーの車を駐車場に停めて、運転手の金髪の兄ちゃん……輝樹(てるき)にぃが俺に声をかける。 「うん……」 「まだ具合悪いのか?顔色、あんまり良くないけど」  輝樹にぃに覗き込まれて、俺は思わず顔を逸らす。  輝樹にぃは悪い人じゃない。寧ろ、春花と同じ優しい人だ。  ただ、俺は昔から輝樹にぃにべったりで……、甘えてばっかりだったから、少しでも自立したくて必死なんだ。  だから、弱いところとか、子供っぽいところとか、あんまり見られたくない。 「眞冬?」 「っ……、大丈夫!輝樹にぃは心配性なんだよ」  俺はそう言って、車から素早く降りる。バタンとドアを閉めて、スタスタと施設に歩いていた時だった。  ガシャン!  近くで、何か壊れる音が聞こえたのは。 「なんだ……?」  俺は後ろを振り返る。すると輝樹にぃも不思議そうに辺りを見渡していた。 「なんか、壊れた音が聞こえたな。向こうで何かあったのかもしれない……。オレが様子見てくるから、眞冬は家で休んでて」 「あ、うん……」  向こうで何があったかは、気になるけど……まだ体調も本調子じゃなかった俺は、素直に家の中に入ろうとした。  ……でも、ドアノブに手を掛けた時。  聞こえたんだ。 ──みんなを、守らなきゃ…………!  転校生の、必死な『声』が。
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