彼女

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彼女

私は体を勢いにあずけながら、階段を降りていった。 体が少し浮いて揺れたのがわかった。 二人の前に姿を現すと、二人が顔を上げた。 私の姿を見つけると、ミヨちゃんは笑顔で手を振った。 素早く 「トモ、OKやよ。」 という。 ー OKってー!☆☆☆ 私の胸は高鳴る。 天にも登る気分だ。 「トモ、こっちおいで…。」 その言葉にドキっとする。 私はなべくんの前に立った。 「トモ、付き合ってもいいって…、交換日記から始めましょうって…。」 私は顔を上げて、彼の顔をチラッと見ると、下を向いた。 「本当に…!?」 心臓の音が彼に伝わらないか心配だ。 三人の沈黙の中、時間が過ぎていく。 止まることのない時が刻む数秒間…。 今、この瞬間から 私となべくんは 彼氏と彼女になるんだ❣❣ 彼女になるんだ〜〜〜❢❢ 「今日からよろしくね。」 なべくんの声がかすかに聞こえた。 今日からよろしくって…。 突然言われても…。 そんな、笑顔で答えてくれても…。 言われてもいいか…。 何かパニクってる私。 彼は振り返って私を見つめた。 私はうなずいた。 彼は照れくさそうに手を首にやった。 「じゃあ、又、明日…。」 と立ち去っていく彼。 彼の後ろ姿が眩しかった。 立ち去るなべくん。 私はボッーと見つめる。 ミヨちゃんは突然、私の手を握った。 片方の手で私の頭を撫でた。 「よかったね。実はなっちゃんのところもうまくいきそうなんよ。」 「えっーそうなん、良かった。」 私は今年で13歳だ。 自分の足でしっかりあるき出している。 もっと自由に飛べるかも知れない。 「本当に良かった。ミヨちゃん凄いね。ミヨちゃんがいなければ、今日という日はなかったわ。」 「私のおかげかな〜。」 「ありがとうね。」 彼女は目を細めてにっこりした。 時の流れがゆっくりと感じる。 「さぁ、私達も帰ろうか…。なっちゃんも校門のところで待ってる事だし…。」 二人でB棟の校舎を足早に出ていく。 日は傾き、夕日のオレンジ色の光が目に飛び込んできた。 でっかい太陽が見えた。 何か壮大な自然の姿があった。 手で少し遮りながら、二人は夕日を見る。 心地よい風が頬をなでる。 私は思わず、校庭を振り返る。 グランド内では、野球部員達が列をなしてラインに沿って走っている。 掛け声をかけながら走っている。 それを見ながら、なべくんの立ち去る姿を思い出す。 少し無邪気だった彼…。 私はなべくんが好きだ。 私はこの瞬間を忘れないだろう。 でっかい太陽も忘れないだろう。 足早に帰る彼女を追いかけて門の外に出たのだった。
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