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Wデート
「ねぇ~、トモ!!」
「今度、Wデートしない〜!?」
と急になっちゃんから話を切り出された。
それは、照りつける夏の太陽が連日のように続く七月になったばかりだった。
「Wデートどういう事!!」
私と彼、なっちゃんと浜りん…。
四人で何処かに出かけるということだった。
なっちゃんがお茶を片手に近づいてきた。
お茶の香りかと思いきや、ほのかな甘い香りが漂ってる。
どうやら、なっちゃんの髪の香りだ。
「私、この事浜りんとしょっちゅう話ししてるの…。一緒に行けたら面白いなぁって…」
と彼女達は行く気満々だ。
聞いてないよ…、
そんな事、
いや、まだ話をしてなかったか…
とにもかくにも、男の人とデートだなんて…
いや、むしろ、真面目一筋で生きてきた私だ!!
私の気持ちをよそに
「ちょっと一緒に来て…」
と、私の手を引っ張ってどんどん、どんどん進んで、行った先は、がらんとしたテニスコートだった。
誰ひとりいないコート
何かを思わせた。
「今から彼が来る…。」
「エッー。どういう事!?」
一瞬、驚きを隠せなかった。
昼休みの時間を利用して彼と会ってたなんて…。
「私が会いたくて…。」
と小さく笑った。
笑った顔が、太陽の陽の光が眩しかった。
無邪気な横顔だった。
ふとした横顔が綺麗だった。
綺麗になったなぁ…、なっちゃん。
なっちゃんの顔が大人びて見えた。
「あっ!来た、彼が…」
振り向くと、白い歯を見せて、ニッコリと笑った浜りんが見えた。
なっちゃんが彼に近づく。
「ごめん、遅くなって…」
二人の並んでる姿を見ると少しドキッとした。
彼はポケットに手を入れながら近づくと
さっと、ポケットから手を出した。
「はじめまして、浜岡です。」
「は、はじめまして…」
「和久井です。」
浜りんを初めて近くで見た。
とても爽やかなイメージだった。
「何処かに四人で遊びに行こうか?」
「僕の方から渡辺に行ってみようか。」
私はブンブンと首をふる。
「うん、いいの…。」
なべくんに聞くまではこの話が決まりそうにないと思った。
「私から伝えておく…」
私は早口で言うと、二人の邪魔にならないよう、すごすごと教室に戻っていった。
結局、七月の終わり夏休みにダブルデートすることになっていった。
「トモさんとデートだなんて…」
彼はまんざらでもない顔で、少しうれしそうだった。
「良かった〜。」
と私は少しホッとした。
その日を楽しみに毎日を過ごした。
当日を迎えることになった。
ダブルデートの朝。
駅前に集合することになっていった。
私は初めてのデートということで、少しお気に入りのワンピースを着ていた。
可愛らしい小花のワンピースが何かを思わせた。
中央に大きなリボン。
可愛こぶってる姿だった。
「おまたせー」
私が駅についた時はもうすでに三人が待っていた。
彼はリッックを肩にかけ、見たことない帽子を被っていた。
彼に近づく。
「少し待った?」
彼は首を横にふると
「僕もいま来たところ…。」
と肩にかけてるリッックをかけ直した。
なっちゃんは、おしゃれなTシャツにジーパン姿をだった。
私のワンピースが風に吹かれていた。
幼く見える私だった。
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