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運動部
男子バスケットコートは熱気でいっぱいだった。
そうこうしてる間に男子バスケは休憩に入っていった。
渡辺くんとは目も合わすことなく、そのまま、女子コートへと向う。
女子の先輩達は、明るく私を迎えてくれた。
「わー、新入生が来てくれた!!」
「こちらへ来てね~。」
何人かの先輩に言われて進んだ先は、三年生となる女子先輩達の中だった。
優しく迎えてくれる先輩達。
「今日は見学だけね~。」
「はい、見学でお願いします。」
と少し興奮気味の私は、真ん中にたたずんでいた。
「ここに座って見学してね~」
手をグイッと引っ張られ
パイプ椅子を勧めてくれた。
「はい、ありがとうございます…」
見学者は私を入れて四人となった。
「さぁ、後半頑張ろうか〜」
女子先輩達は、次々と練習をこなしていく。
突然、隣の新入生の娘が話しかけてきた。
「はじめてかしら…?」
はじめて見る顔だった。
小さく首をかしげる。
「ここのバスケ強いんだって…、練習もちゃんとしてるしね。」
私はコートに目をやった。
「………。」
皆のする練習を見てうなずく。
ー 皆、すごい…。
ー 私、やってけるかしら…。
中学になったら、運動部に入る!!
と決めていたけど…。
毎日、部屋の中でジィーと過ごすなんて…
考えられなかった。
飛んだり跳ねたりするのが好きな私は、文化部に入ろうとすら思わなかった。
少し前、小学生の頃…
体育のバスケットで、シュートがよくきまっていた。
先生に
「和久井さんはシュートがきまってるね。バスケにむいてるかも。」
と褒められた。
そういう事もあって、中学生になって入部したい気持ちがつのっていた。
バスケ部…。
バスケ部に入るとどうなるだろう。
これまで通り、学校が終わってからすぐ帰れないし、すぐ友達と遊ぶ生活は出来なくなってくる。
部活動とはそういったもんだ。
中学生になったんだもん…。
バスケットをする事になっていく日々が続くのだった。
「私、ここのバスケに入りたいな…。」
渡辺くんをチラッと見る。
先輩達に囲まれて
笑ってる彼がいた。
私、入部しよう。
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