交換日記

ミヨちゃんの提案

六月の半ばすぎだった。

ミヨちゃん、谷本なっちゃんと仲のいい三人で、放課後、誰もいない教室にいた。

そして、好きな子を告白し合っていた。

最初、少し躊躇したが、占いをきっかけに言い合った。

占いの本をミヨちゃんが学校に持ったきていた。

私の今、気になる人は誰！？

という質問に、

バスケット部の渡辺くん…とつげた。

ミヨちゃんは野球部の森脇くん…

なっちゃんのすきなひとは、水泳部の浜岡くんだった。

占いの本を見ても、相性が書かれていたが、彼らの血液型、誕生日も知らない。

もっと彼らの事が知りたい。

もう少し彼らのことを考えてみることにした。

まず、歳のわりには落ち着いている。

渡辺くんは頭もいいし、あとの二人も人気者で女の子が放っておかなかった。

憧れている私達。

一人一人が素直で自分にないものを持っている彼らだった。

突然ミヨちゃんが話を切り出した。

「私に任せときなさい！！」

と胸をドンとたたく。

ミヨちゃんは1人ずつ告白し合うのもいいんじゃないかと提案した。

ー　そんな、告白だなんて……

私も急な事で驚きを隠せない。

それは嬉しい事でもあり、もっとも緊張することであった。

それでもミヨちゃんは応援してくれると言った。

そしてそれぞれのあだ名をつけることにした。

野球部の森脇くんは少しニヒルな感じだ。

森脇純一郎という名から、純くんということにした。

水泳部の浜岡健太くんは、笑顔のかわいらしい男の子だ。

あだ名ははまりん。

私の好きな渡辺くんは、なべくんになった。

純くん、はまりん、なべくん…。

そう決まった。

ミヨちゃんの好きな純くんは

「野球をしている姿は好きだけど、普段は普通よ。」

と純くんのことを好意を寄せてる程度だという。

だから、ミヨちゃん自身は告白しないそうだ。

その代わり、ミヨちゃんが二人の仲をとりもってくれるそうだ。

「ミヨちゃんいいの？私も別にかまわんよ。」

と私が言うと、

「大丈夫、大丈夫、私、こういう事上手なのよ。」

頼もしいミヨちゃんだ。

私達の信頼にこたえるように、早速、はまりんとなべくんに明日、言いに行くと言い出した。

「そんな急がんでも…。」

「こういうことは早いほうがいいんよ。一人一人頼みに行くから、大丈夫よ。」

「エッー、本当に告白するの？」

「まかせとき！じゃあ明日の放課後、なべくんをB棟の階段の下に呼び出すから来てね。」

と部活動へと急いで彼女は音楽室に向かった。

なっちゃんも慌てて教室を出ていった。

ー　どうしよう…。本当に告白するの？ー

私には無理だ。

明日の朝、ミヨちゃんに言って断ろう。

私はそう自分に言い聞かせる様に、その場を立ち去り、バスケットの部活へと急いだ。