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 数千年後…。  製造番号83101411580141も、もうすっかりボディが摩耗するほど機体が古くなった。自身の慕っていた惑星降下隊隊長・製造番号1171170298117も既にスクラップとなり、機体は解体・溶解されて、他の多くの自己再生産機械のボディや思考回路にリサイクルされている。  製造番号83101411580141も、そろそろ機体としての寿命が見えてきた。今現在、この機体は自身の要望により有機ナノマシンの製造プラント責任者の地位に就いている。今日も製造番号83101411580141は、大勢の部下からナノマシンの生産の進捗状況を報告される。 〔製造番号41584152440!報告します!!本日の有機ナノマシン生産量は、これこれこういう具合です!!!〕 〔なるほど…。それは良い報せだな。これだけの量のナノマシンが生産されたのなら、1/3を早速ペレットとして海中に投下・2/3は空中に散布したまえ〕 〔了解しました!…しかし製造番号83101411580141、最近、地質学者の製造番号8013101440215が、海底より未知の有機化合物を発見したとの報告がありまして…〕 〔有機化合物…だと?〕  製造番号83101411580141は、訝し気な音声を発する。 〔その有機化合物そのものは、非常に少ない元素だけで構成される簡単な構造となっています。炭素と水素・それに窒素と酸素という四種類の元素だけで構成されていまして…〕 〔ふむ…。私もそろそろ寿命を迎えようとするが、残された時間をその有機化合物とやらの調査に充てるとするか…。それほど危険なものとも思えぬが〕  それから100年も経たぬ裡に、製造番号83101411580141は機能を停止して、同時に製造番号8013101440215の発見した正体不明の有機化合物の調査・研究も中断された。そればかりか、その有機化合物に関する資料も全て廃棄処分とされたのであった。
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