1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
羽鳥蘭の横顔が、夕陽で朱く染まっていく。その横顔が、あまりに美しくて教室で二人きりでいることが後ろめたく感じられるほどだった。
俺は彼女のまっさらな心の声を聞いて、手紙を彼女の手に握らせた。彼女は驚いて、俺をじっと見つめる。
「あ、いやごめん。そういうつもりではなくて」
勝手に彼女の手に触れてしまったことを謝り、教室からさっと出ようとした。
「美山くんありがとう」
振り返ると手紙を胸の前でぎゅっと抱きしめる彼女が、繊細そうな瞳をきゅっと細めていた。夕暮れに佇むこんな彼女を見れば、彼女のことを好きになった新の気持ちが、少しだけ分かる気がした。
最初のコメントを投稿しよう!