ポルコスピーノ新宿の遊戯

１、失恋とセックス【R18】

　人混みを嫌う性質の彼が１番賑わう時間に新宿２丁目を訪れたのは失恋相手と鉢合わせしたくなかったからだ。

　彼は半年前までこの近くのホストクラブで勤務しており、そこで働く孝太郎というゲイに片想いのままフラれた。大阪時代からの片想いだった。最初は見た目が好みなだけだったのに、日に日に孝太郎の存在が心に根を張り追いかけて上京までしてしまった。

　失恋くらい平気なつもりだったのに、自然と食欲は減りタバコの本数と酒量が増えた。営業終了後に酔い潰れる事もしばしば。他店に移籍したというのに孝太郎の桜色の髪を探してしまう。失恋の傷が思いの他深かったので、貯金を頼りに休職に踏み切ったのだった。