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彼は孝太郎によく似ていた。髪は鮮やかな桜色ではなく黒髪でメガネもかけているので別人とすぐにわかったが、彼の容姿は夜の世界に入ってきたばかりの頃の孝太郎を想起させられた。明は気づけば踵を返し孝太郎似の男に声をかけていた。
「おにいさぁーん、何してんの?」
スマホを見ていた男が顔をあげる。近くで見ても孝太郎に似ていたものだから、明は動揺した。動揺を隠すように彼の腕にするりと抱きつき、いつもより少し甘い声を出した。
「時間あったら俺と遊ばへん〜?」
強引な自覚はあったが、半ばヤケだ。
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