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そんな君にはカセットテープを
自分でもわからないがあの女のところに通い詰めた。何日も何ヶ月も飽きずに。
その日はいつも通りに彼女の元へ行った。
しかし、いつもの場所に行っても彼女はいなかった。
探し回った。
嫌な予感がした。
そして僕はまた一人になった。
すると彼女はそこにいた。
そして、いつものように歌った。
でも、なんだかいつもと違う気がした。
それでも見つかったことに安堵していたら、突然、彼女はあることを言った。僕の身体は身震いをしたような気がした。
そのひととき、その一瞬、目が離せなくなった。そして、僕の心は囚われた。
とてもいい笑顔でその言葉を言った。
『好き』と。
唐突に言われたその言葉で彼女は泡のように消えかけた。まるで人魚姫の最後のように
だから迷わず抱きしめた。
自分でも驚いた。
そんなことをするとは思っていなかったから。
すると彼女は笑った。
大笑いをした。
なんだか見覚えがあった。
そして、彼女が僕にキスをした。最後の最後で。
そのとき、世界が崩壊する前の記憶が戻り始めた。
母親の顔も。
親友の顔も。
そして、唯一心の底からかわいいと思った少女も。
なんで今更思い出すのだろう、
あぁ止まらない。目の前が見えない。
僕の隣にいてくれたのはいつも君らなのに
あの犬もお前だったんだな。
僕の汚い心情なんて知らないくせに
僕が同情で助けたことも
偽善者のつもりになっていたことも。
何一つ知らないくせに。
最後の最後で奪っていくなよ。
一番大切なものを。
なんで失う最後なんだ。
いつも、いつも、
ずっとそばにいると言ったのに。
僕がずっと悲しんでいて、この世界で初めて空を見ていると夜の帳が下りるみたいに暗いのに、星月夜ように明るかった。
それは魔法のように
僕を魅了した。
彼女を忘れることはないけれど、
彼女と彼とあの頃のように
この空を一緒に見ていたかった。
そして、星が落ちるところには彼と彼女が残したものがあった。
唯一の宝物。
ふざけて言ったつもりなのに
覚えてないと思ったのに
覚えているのかよ。
くだらないのに前が見えねぇ。
なんだよ。
聞けやしないのにこんなの残すな
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