怪しい魔術

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香織はプレゼンの準備に取り掛かっていると、春也からメッセージが届いた。 「さっきの御札、偽物だって! 一安心だね」 「なんだ、私よりも御札のこと気にしてくれてたんだ。優しいじゃん」 香織は自分の彼氏が心配してくれていた事に嬉しくなった。 「何かいい事でもあったんですか?」 「柿崎、ちょうどいい所に来た。この資料コピーして会議室に置いておいて」 「了解っす! てか先輩昨日、何で何にも言わないで先帰っちゃったんですか?」 「あ、それは……」 香織は昨日の春也とキスしたことを思い出した。 「ざ、残業があったから先に出たの。それ以外は何も無かったわ!」 「先輩、何をそんなビクビクしてるんですか? まさか会社の不正とかしてたり……」 「柿崎、私のパンチくらってみる?」 「すいませんでしたっ!」 柿崎はそそくさと逃げていった。 「ふぅ〜。社内恋愛ってこういうのがヒヤヒヤするから嫌なのよね」 香織は赤くなりつつあった顔を冷やすためにトイレへと向かった。 トイレに入り扉を閉め座り込んだ。 心臓がドキドキしているが、興奮や緊張とは違う感覚があった。 「あれ? 何でこんなに心拍数が上がってるんだろう?」 香織はトイレの個室を出て手を洗っていると、急に目眩がして倒れ込んでしまった。
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