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オフィスに戻り、分担して仕事を進める香織と春也。
「資料ってどこに置いたっけ?」
「ごめん、戻してなかった。ほらこれっ」
春也が手渡した資料を受け取ろうとして香織の指先が触れた。
一瞬2人の目が合い、時間の流れが止まった気がした。
香織は気まずくて目を直ぐに逸らした。
「あ、ごめん。えっと、資料のどこに書いてあったかな……」
動揺する香織の元に春也が近づく。
香織は恥ずかしくて目を合わせることが出来ない。
「岡田さん、俺のことしっかり見て」
春也は香織の顎を掴み自分の方へと向ける。
「あっ、うん」
香織は春也の目を見つめた。
「やっとこっち見てくれた」
「何言ってるの。早く仕事しよ……」
香織が目を逸らそうとした瞬間、春也は香織の唇にキスをした。
「ちょっと、佐川くん。これはどういう……」
「俺、ずっと岡田さんのことが好きだったんだ」
「そうだったんだ……。でも今は仕事が……」
春也はもう一度、香織に優しくキスをした。
香織の顔がどんどん赤みを帯びている。
「岡田さんの気持ちを聞かせて欲しい」
「えっ……? 私はその、佐川くんのことはいい人だと思ってるけど……。私は佐川くんみたいな格好良い人に相応しい女性じゃないと思うよ」
「俺は岡田さんが相応しいと思ってる」
「佐川くん……」
香織は春也の顔に手を添え、キスをした。
2人はオフィスの中で熱く唇を重ね続けた。
そんな2人の姿をひっそりと覗く女性がいた。
「あんな女、どこが相応しいのよ。自分のレベルに見合った人を選ばないとね。私が香織さんに相手を間違えた罰を与えてあげるわ……」
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