怪しい魔術

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「ん〜、あれ私すっかり寝ちゃったんだ」 香織が目を覚ますと会社のデスクの上だった。横を見ると春也も机に伏せて寝ている。 「佐川くんもずっと手伝ってくれてたんだ。呼び止めて悪いことしちゃった。お詫びにコーヒーでも買いに行こっかな」 香織は春也が掛けてくれたジャケットを春也の背中にかけ直し、外へ行こうと立ち上がった。 すると春也が香織の手を握って来た。 「佐川くん、おはよう。私、起こしちゃったかな?」 「いや。香織さんと一緒にいられることが幸せでぐっすりは眠れなかったからさ」 「か、香織さん? ちょっといくら何でも職場だから抑えてよ!」 「はーい。これからコーヒー買いに行くの?」 「うん。佐川くんを残業に付き合わせてしまったお詫びも兼ねて……」 春也は起き上がって香織のことを抱きしめた。 「これで十分なお詫びになったから、コーヒーは後にしてもう少し一緒にいようよ。あと1時間したら皆も出社してくるだろうし」 「プライベートは持ち込まないの〜! 私がコーヒー飲みたいから買ってくる。少し頭冷やしてて 」 「本当に香織さんはクールだよな。俺の気持ちも知らないで」 「はいはい。今日の夜は一緒にいてあげるからね」 香織は春也を残してコンビニへと向かった。
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