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「すず」
「……はい?」
軽く、彼は溜息をつく。
「あのな、まず、出逢ったのが俺だったからってのはこっちも同じだし。……俺たちのことは俺たちが決めるんだから、どんな生き方選んだって誰にも言い訳なんてしなくていーんだよ」
「……うん」
「ウチの方は、誰も何も言わねえしよ」
聖さんのことがあったから余計に孫は欲しいんじゃないかと思うけど、でもお義父さんもお義母さんも何も言わない。
わたしたちが元気なら、それでいいと言ってくれる。
「……また来月も連休あるし、静岡行きましょうか」
「無理じゃなくっていいぞ。夏も行ったんだし」
「うん。でも……今は聖さんたちが傍に居てくれるけど、本当はお義母さんたちも竜に会いたいだろうし、あたしも会いたいです」
「まあ、じゃあ予定見てな」
「うん」
お月様は、欠けても消えてもまた丸くなる。
わたしたちも、この先も悩んだり喧嘩したりいろいろあるかもしれないけど、ずっとこんな風に、何気ない日常を楽しんで過ごしていけますようにと心の中で月に祈った。
『SS.月が綺麗ですね 竜と涼子ver.』了
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