SS.月が綺麗ですね 金木犀ver.

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「きみからは直接聞けた方がいい」 「あんたは直接言ってくれないのに?」  ベッドに腰かけて、寝ぐせのついた髪を直してやると、ふっと目元が微笑む。 「僕は、大概のことはきみにしか言わない言葉だよ」 「だから?」 「全部、そういう意味にとってもらっていい」 「……たとえば?」 「そうだねえ。喉が渇いたとか」 「……持ってくるよ。何がいい」 「今は麦茶かな」 「はいよ」  ペットボトルを取りに行って、冷蔵庫を開けて思い出した。 「そうだ。梨食べる?」 「……食べたいけど、起きるのは面倒かな」 「俺が切るよ」 「いい。だったら明日自分でやる」  めちゃくちゃ本気の声で止められた。 「いーよ。家で練習してるし」 「……ちょっと待って。きみ、この前段ボールで切ったって言って絆創膏してたけど、まさか」 「……や。大丈夫。だいぶ慣れたから。あ、先にお茶」  ペットボトル渡しに行くと 「本当に大丈夫かい?無理しなくても」 って眉間に皺を寄せる。 「俺がやりたいんだよ。……結局まだ言い出せてないけど、いずれ一緒に住むなら俺だって少しずつ家事も出来なきゃだろ」
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