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 赤いなにかが、教室の前で停止する。窓から、教室の中をじっと覗いている。やはり、その顔は深い闇色で見えない。  悲鳴を上げそうになるミナミの口を、知らない少女が手で押さえる。  赤い影はじっと教室を覗いていたかと思うと、鎌を床に叩きつけながら去って行った。 「今のは?」 「逆鬼よ」  少女は窓から廊下を見回し、「もう大丈夫みたい」と言ってドアを開いた。 「今日はこの教室で過ごしましょう」 「今日はって。こんなところで?」  教室で過ごすと言いながら、おかっぱの少女は周囲を警戒しながら教室を出た。ミナミは彼女の背後にぴったりとついて、廊下を覗き見る。 「ここって、学校だよね? 夜帳中学校」 「あなたの言う、学校で間違いないわ」 「君は、他校の生徒? なんで、ここにいるの?」 「他校……、ではないわね、一応。花里時子、一年一組の生徒よ。あなたは?」 「八城、ミナミ。三年二組」 「あら、年上だったの。同いかと思ったわ」  変わった話し方をする少女は、確かに大人っぽいが少し嫌味に感じる。 「身長は、君よりも高いけどね」 「まあ、背丈が高いことを喜ぶのは子供だけかと。でくの坊って言葉はご存じ?」  いちいち癇に障る話し方をする少女だ。背は低く、口が達者とは、穂香に少し似ている。  華奢で背が低い大人しそうな少女からは、悪気は一切感じない。けろっとした顔で、おかっぱの髪をいじっている。  ここはいったいどこなのか、聞きたいが、彼女と話しているとストレスがたまるばかりだ。ミナミは教室のドアを開けようとした。 「外に出てもいいけれど、気をつけてちょうだい」  ミナミが教室から出ると、時子という少女も後をついて出てきた。どうやら、ついてくるらしい。  背後の少女から視線を廊下へ移す。
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