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「そんなもの、いるわけないじゃん」
「本気で信じてるの?」
周りからそう言われながらも、ボクにはずっと信じて、探し続けていたものがあった。
それは、宇宙人だ。
ボクは、ついにそれを発見した。
でも、驚いたことにそれはボクのイメージとは大きくかけ離れていた。
いろいろ調べて得た情報は、襲われるとか、さらわれるとか、野蛮なことばかり。
本音を言えば、怖さもあった。
でもそんなことは、ひとつも起きなかったんだ。
それどころか、初めて出会ったあの日、驚きながらもボクの傷を見て、手を添えてくれた。
未知の温かさに、傷は癒えなかったけれど、不思議と痛みは和らいだ気がしたんだ。
その後も、何度も何度も宇宙人はボクに会いに来てくれた。
この高い山の頂上で、ボクたちは必死になって互いの言葉を覚え、心を通わせた。
やがて宇宙人は、ボクの大切な『友達』というものになった。
友達は、ボクにたくさんのことを気づかせてくれた。
信じることの大切さや、相手を思いやること。
助け合うことの尊さや、力を合わせればなんとかなるということ。
そして、そんな友達と一緒に見上げる宇宙は、本当にきれいだということ。
まるで宝物を発見したような気持ちになった。美しい宇宙を見上げ、ずっと大切にしていこうと、心に誓った。
そんな日々も、今日で終わる。
ありがとう。この星で出会ったたくさんの発見と喜びを、ボクは忘れない。
一緒に直した傷だらけの機体が、元気よく音を立てた。
ボクの大切な友達が、手を振っている。
「さようなら! 本当に……ありがとう!」
ボクはコックピットの窓から大きく手を振り、叫んだ。
ボクの星に帰ったら、胸を張ってみんなに伝えるよ。
あの美しい青い星に、宇宙人は居たよ。
でも、とっても優しかったんだ。
〈おわり〉
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