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そんな子が、どうして同じようにノーブレーキでおりてくるの? と。
『しおり、大丈夫かな?』
直人が不安げな声を上げた瞬間だった。
しおりの自転車が急にバランスを崩した。
一度バランスを崩した自転車はなかなか元に戻らない。
『おい、ブレーキ使え!』
実が叫ぶ。
だけどその声はしおりにはとどかなかった。
しおりはフラつきながら車道へと出てしまったのだ。
交通量は少ないけれど、サーフボードを屋根に乗っけた車などが走っている。
『しおり!!』
自分が叫んだのか、誰が叫んだのかよくわからなかった。
しおりの後方から車が迫ってきていた。
運転手は真っ直ぐな上り坂でアクセルを踏み込んでいたのか、下りに差し掛かってもスピードは出たままだった。
しおりが異変に気がつて振り向いた。
その途端自転車が制御を失って、横倒しに倒れた。
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