文化祭クライシス

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 友達ゼロだった彼女、しかし今はクラスの中心的存在にさえ見える。  彼女の唇から時折姿を現わす八重歯が、例の彼の眼を釘付けにし離さなかった。  そしてその笑顔を見る度に、彼の秋の計画が遠くへ遠くへと遠のいて行くのを感じた。  もし、また二学期彼女が一人なら……『自分が秋の文化祭に誘おう』そう彼は今朝教室で彼女を見たとき密かに思っていたのだ。  誰よりも早く教室に来た時は、彼女は机に突っ伏していたため、彼女の変化には気付かなかった。  蝶のように生まれ変わった彼女に対し、彼はというと、夏休み前とほどんど変化は見られなかった。  元々クラスで目立つ存在でない彼は、声を掛けるチャンスが無い事を悟ると口から思わず吐息が漏れていた。
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