世界樹ユグドラシルの精霊と天恵の神樹

1/3
247人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ

世界樹ユグドラシルの精霊と天恵の神樹

「ギルドを出てすぐの道を右に曲がると海に続いています」 「うみをまっすぐにとんでいくと和国なのー」 「このギルドに届く海産物は、和国産も多いんだ」  今日は風が強くて海が荒れているため、海岸には向かわず畑エリアへと案内する。  雑談も交えながら村の見回りと案内を兼ねて散歩を続けていると、もふもふモコモコな白い毛で黒っぽい巻き角、二足歩行する二頭身な羊に似た何かが畑を耕していた。  一匹の顔は白っぽくて、もう片方は顔や手足(前足と後ろ足?)あたりが黒い。  羊に似たもふもふには見覚えがある。前世で見知った彼らによく似ているけれど……まさか、ね? 「見慣れぬ生き物だが、創世神話に登場する鬼王神龍に仕える世界樹ユグドラシルの精霊に二足歩行する羊がいたな。鬼王神龍のアッシュ殿が『神樹の精霊達を呼んでおいた』と言っていたが……あれがそうだろうか?」 「そのようだね。神樹の精霊ブランとノワール……それに、苗木を運んで来た鳥も神樹の精霊でグリだよ」  ロードさんの疑問に答えてくれたのは翠さんだ。  まさかとは思いたかったけれど、前世で知り合った彼らのそっくりさんではなく本人(本精霊?)だったようだ。  上空から降り立ったグリ――巨大なシマエナガに似た姿の精霊は、桜に似た花を咲かせている苗木を運んで来たみたいだね。 「あの苗木は、神樹の類いなのでしょうか?」 「そうだよ。新種でね、アッシュ達に各地の神殿に植えてくるよう命じたものと同じだよ」  父上殿の質問にも答えた翠さんは、新種の苗木は『天恵の神樹』と名付けられたと続ける。 「別名を精霊樹。何が生まれるか楽しみにしておいて」
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!