海が見える温泉

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「実質混浴だけど、自動で水着着用になります」 「もんだいないのー」  アルさんやセイさんは、実質混浴ということもあって一緒に入浴することを辞退して警備に回ろうとしていたんだけれど、折角村に来てくれたんだから、是非とも温泉を堪能していただきたいと、レイと共に強引に押しきった。 「こしつもあるよー」  脱衣場所は男女で一応分かれているけれど、それでも気になる人向けに個室の脱衣場所も設置されている。  この温泉が気に入って住み着いた精霊と妖精の恩恵で、脱いだ服の汚れは浄化され、持ち物の類いも、使用可能な場所が限定されているレンタル式の簡易収納水晶で温泉に持って入ることが可能なため盗難の心配も必要ないし、精霊達や妖精達が収納したものの取り出し可能な場所に制限をかけているため、危険物の持ち込み対策としても役立っている。  温泉施設そのものに結界魔法が張り巡らされているから、そもそも賊や殺意や悪意を抱いているような人は入り口で弾かれるみたい。  共同浴場で服を間違われる心配が無いのも安心だよね。  魔法で作成された水着が自動着用になる術式も精霊や妖精達の配慮によるものだよ。 「もう慣れましたが……相変わらず男女問わずワンピースのような水着なのが……」 「伴侶以外に肌を極力晒さない文化を持つ者達への配慮であると理解はしているけれど、ここでの生活に慣れてしまうと他で困りそうなところが何とも言えないかなぁ」  父上殿とヴォルフさんの呟きを聞いて、騎士として遠征に出ることもあるらしいセイさんやアルさんが、最近はお風呂の普及率が徐々に上がってきているけれど、まだまだ技術者が足りていないため全国的になるのは時間がかかりそうだという話をしていた。
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