海が見える温泉

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 淡く藤色に染まる美しい銀髪は、湯に浸からぬように結い上げられお団子のように一つにまとめられていて、光の加減によって色を変え、黄金にも琥珀色にも見える澄んだ瞳には、高位生命体特有の強さや気高さを宿している。  ここにアッシュ達と共に温泉を作ってくれた神龍様であり、俺にとっては転生者仲間でもある前世からの友だ。  前世で過ごした魔法世界でも、属性王の神龍様を生み出した存在として神話に登場するようなレベルの神龍様の転生体で、この世界に転生してからは和国の国王である龍王神様なんだけど……温泉が気に入っているようで、わりと頻繁に会っている。 「……エルド殿ではないか」  驚いたのはロードさん達だね。  声をかけたロードさんは少し驚いた程度のようだけれど、セイさんやアルさんは想定外の連続で思考回路が停止しかけているのか固まってしまっている。  エルドさんが頻繁に来るから、最初の頃こそ驚いていた父上殿達だけど、今ではさすがに慣れたみたいだよ。気配で気付いていた翠さんや精霊達(ブラン、ノワール、グリ)は驚いていないみたいだね。 「アッシュ殿から、本日はそなたらも神樹の村へ来ていると聞きましてな。近場ゆえ寄った次第」  穏やかな声と表情でエルドさんが告げる。  温泉施設の結界を通過した時点で浄化魔法がかかっているため、掛け湯代わりとなっている温水シャワーの術式が込められた水晶の近くを通って腰元から順に掛け湯を済ませ、足湯エリアのお湯の流れを逆に進んで、俺とレイは幼児向けの浅いエリアでお湯に浸かる。  海側に向かうにつれて段々と深くなっているので、俺とレイは足湯エリアから遠回りして浴槽に向かっているけれど、段差が問題にならない大人達は、温水シャワーエリアで掛け湯を済ませてすぐに浴槽に向かっていたよ。
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