三章/『おかえりなさい』

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三章/『おかえりなさい』

 ロードさん達が神樹の村へ訪れた日から、ブラン、ノワール、グリの世界樹ユグドラシルの精霊三名は、ホーリースライム達のように神殿に住み着いた。  魔境の森に生えている世界樹ユグドラシルの若木と神殿を結ぶ間の森が精霊と妖精の森と呼ばれる聖域にもなっているため、魔力補給などにも支障はないそうだ。  俺の特殊スキルの一つ特殊空間魔法〝エリュシオン〟にも出入りができるようで、気が付いたらアッシュ達が拡張した場所以外にも畑エリアが拡張されていたっけ。  朝食や夕食は神樹の精霊達も一緒に食べることが多いけれど、昼間は精霊としての仕事でもあるのか、神殿にも〝エリュシオン〟にもいないことの方が多い。  不思議に思っていたら、ミュリエルが『天恵の神樹と、たまごの様子を見守るお手伝いですわ』と教えてくれたのを本当の意味で理解したのは、休眠状態だったたまごから無事に生まれたという報せがこの村にも届いた時だった。  翠さんが話していた『救済措置』が効果を発揮したのだろう。  アッシュが、『あいつら、世話焼き気質だろ? だから孤児院が併設されている神殿とかで育てている野菜や薬草なんかが調子悪いと、つい手を貸して相談に乗っているみたいでな……子供は世界の宝だからなぁ』とも言っていたから、各地の神殿に配布されたらしい天恵の神樹がある程度育つまでは、当面このままな気がする。
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