料理スキルと調合スキル

1/2
前へ
/129ページ
次へ

料理スキルと調合スキル

「今回は商国まで行っていたようだけれど、何か変わったものはあったのか?」  ヴォルフさんが、ギルドに併設された調理スペースで、水を入れたやかんを火にかけながら問いかける。 「商国に限らず、近隣の国でも神殿にお告げがあったという話と、神龍様を目撃したという話で賑わっていたね」  問いに答えながらも、空間収納魔法がかかったマジックバックからホールケーキを取り出すゼファーさん。 「これは今回のお土産のガトーショコラだよ。商国まで行くと庶民でもチョコレート菓子を入手しやすいのは、ありがたいよねー」  商国の気候が熱帯や亜熱帯というわけではないんだけど、炎の属性神である炎帝ミカエル様や、植物を含め自然を司る精霊王や妖精王を祀る神殿が多く、温室魔法で育てられたカカオ豆の産地でもあるから、チョコレート菓子も他の国より比較的安価で入手できるとチョコレート好きのゼファーさんから聞いたことがある。 「珍しい茶葉も見つけたから買ってきました。蝶豆――パタフライピーとも呼ばれるもので、青い色のお茶なのですが、レモンの果汁を加えると色が変化するのです。琥珀糖などを作る時に使用してみると面白いですよ」  面白い茶葉の話をしてくれたのはエルデさん。近隣の町で砂糖とレモンと寒天も買ってきてくれたようで、今日のスキル修行は琥珀糖作りに決まった。  ちなみに砂糖は香辛料や塩と同じで、この世界では高価な部類に入るけれど、他の国で購入するよりも農業や林業が盛んなフォレスティライト王国で購入する方が安いんだ。  産地に近いほど、輸送コストがかからない分安いから、食材は、なるべく産地の直売所で購入するようにしていると行商に出ることもある二人が教えてくれたことがある。  空間収納魔法が付与されたマジックバックには容量制限がある場合が多いけれど、父上殿達はパーティーメンバー全員が各々所持していたから容量制限が問題になったことも無かったみたいで、よほど大きなモノでも格納しない限りは容量オーバーにはならないと思うと話していた。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

271人が本棚に入れています
本棚に追加