料理スキルと調合スキル

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「ただ、まぁ、嗜好品の類いに限らず過剰摂取は体によろしくありませんから、ゼファーが食べ過ぎないように先に六等分にしてしまいましょうね」 「さすがにもう私一人でホールケーキを食べ尽くさないよー?」 「念のためです」  そう告げるなり、エルデさんは父上殿が用意した包丁を受け取ると綺麗に切り分けた。  ゼファーさんはチョコレートだけでなくケーキも好きだからと、以前父上殿達が冒険者として旅をしていた頃にホールケーキをまるごと与えたら、全部食べきってしまったことがあるそうだ。 「料理スキルの差なのかなぁ……僕が切ると包丁にクリームが付いてしまったりして、ケーキの断面がこう綺麗にはならないんだ」  父上殿が各自の皿にケーキを取り分けながら不思議そうに呟いている。  レイが『いっそ魔法で切ってしまう手も……』なんて呟いているけれど、それができる程の精密な魔力操作のほうが、包丁で綺麗にケーキを切り分けるよりも習得難易度が高い気がする。 「エルデの場合は、器用さもだけど鍛冶師でもあるから道具知識も豊富だろ? そのあたりの差が出ているんじゃないか?」  ヴォルフさんも父上殿も、料理が苦手なわけでもないけれど、得意と言うには微妙と本人達が言っていた。  料理は、料理スキルだけじゃなくて、調合スキルなどの他の要素も影響していそうだと言われているみたい。料理を続けていても料理スキルのレベルがなかなか上昇しない人もいるという。  ちなみに俺は前世(チキュウ+別の魔法世界)での自炊経験が引き継がれたのか最初からそれなりに料理スキルが高めだった。  調合とかもそれなりに。  料理をしていて調合スキルが上がる場合もあれば、人によっては短剣スキルが上昇していたり(包丁や果物ナイフなどが短剣扱いになっているとかかな?)、格闘スキルが上昇していたり(うどんや蕎麦でも打っていたんだろうか?)もあるらしく、料理スキルは謎が多いようだ。  料理スキルが高い人が作った料理を食べると、体力回復や疲労回復の効果があることは判明しているため、料理スキルの習得や上昇を目指す人は多いみたいだね。
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