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精霊と妖精の違い?
おやつを食べ終えたらお片付け。
「それじゃあ、一狩り行ってくるね」
「留守番は任せたよ」
「いってらっしゃーい」
ヴォルフさんと父上殿は狩りに出るみたいなのでお見送り。
ゼファーさんとエルデさんが神樹の村に帰って来た日には、父上殿とヴォルフさんが『一狩り行ってくる』と言って、ほぼ毎回一緒に魔境の森へ狩りに出るため、ゼファーさんがギルドの受付を担当し、エルデさんが村の見回りをしてくれる。
俺とレイは、エルデさんと一緒に見回りに出るか、ゼファーさんとギルドに残って受付を手伝うのがいつものパターンなんだ。
「村の見回りに行ってきますね」
「レイも行くー」
「今回はご遠慮願います。嫌な感じはしないのですが、知らない魔力の気配がするので、念のためギルドで待っていてください」
「わかったのー」
エルデさんが俺達の同行を断る日は珍しい。
見回りに出たエルデさんも見送り、俺達兄妹はギルドの受付を任されたゼファーさんを手伝いながらギルドで待機することになった。
「知らない魔力……神樹の精霊達かな?」
「グリちゃん達には、ここに戻ってくる途中で会ったから違うかなー」
ゼファーさん達が村に到着してギルドに向かっていた時に、村に植えられた天恵の神樹の傍で神樹の精霊達がお世話をしているところを目撃し、互いに軽く自己紹介をして別れたそうだ。
「私はエルフ族で、エルデはドワーフ族でしょー? どっちも妖精族に分類される種族だから、精霊さんや妖精さんとは仲良くさせてもらってるんだよー」
「妖精族……」
精霊と妖精の違いって、資料や物語によっても記載が違ったから、調べれば調べるほど謎が増えるんだよね。
この世界では、精霊と妖精の区別は曖昧だ。
自然を司る者の眷属という意味では似たような存在で、生まれた時に実体を持っておらず精神体だったものを『精霊』、生まれた時から実体を持っている者を『妖精』と元々は分類していたという文献がこの世界には残っている。
ただ、この世界では特殊な子作り方法があるため混血も多く例外が増えた結果曖昧になってしまったとも書いてあった。
グリ達のように、元々は精霊として実体を持たずに生まれたけれど力を増して実体化できるようになったような存在もいるから更にややこしくなったようだ。
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