第二章

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  「キュキュ——ッ!!」  急に体を掴まれてびっくりしたのか、それは甲高い鳴き声を上げると、栗丘の指にガブリと噛みついた。 「()っっっって!!」  栗丘が痛みに震える手でそれを皆の眼前に差し出すと、胴体を掴まれたままのその白いふわふわの獣は、栗丘の指から滴る血を美味しそうに舐めていた。 「そうそう、この子。『管狐(くだぎつね)』っていうんだけどね。もともとは私が可愛がっていたんだよ。でも全然懐いてくれなくてねぇ」 「えっ、御影さんのペットだったんですか!?」  返します! と栗丘は獣を御影の前に突き出したが、 「いやいや。その子はもう君に懐いてしまったからね。可愛いから名残惜しいんだけど、私の所にはきっと帰って来てくれないし、他の人間の所に行くことも絶対にないと思う。その証拠にほら」  御影は畳んだ扇子の先で獣の口元を示す。  他の三人が見ると、獣は栗丘の指の傷口を執拗に舐め続けていた。  
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