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人を見かけで判断してはいけない、と教えられて育った。
どんな物事も表面的に見ているだけでは、その本質を見抜くことはできない——という教訓にはおおむね賛同しているし、実際にどれだけ怪しい風体の人間が相手でも、とりあえずは話し合ってみることが大事だと肝に銘じている。
だが、周りの人間は……あろうことか人のことを第一印象だけで決めつける人間が、この世にはあふれすぎている。
「だーかーらー! 俺はれっきとした警察官で、この交番に四年以上も勤めてるベテランなの! わかったらさっさと事件の現場まで案内してくださいよ!」
東京の片隅にある交番で、栗丘みつきは苛立ちを露わに叫んだ。
「またまたぁ。嘘はいけねえぞ、坊主。そんなちっこい見た目じゃあ、どんだけ背伸びしたところでせいぜい中学生くらいが限界だろ。社会人体験だか何だか知らんが、とりあえず本物の警官を呼んできてくれねえか?」
窓口のカウンターに片肘をついた中年の男は、話半分に栗丘の訴えを受け流す。
真昼間から酒を飲んでいるらしく、その顔はすでに茹蛸のように真っ赤に出来上がっていた。
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