第二章

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   ま、裏技だけど、と付け足した御影に栗丘は一抹の不安を覚える。  しかし腐っても彼は警視長であり、あのプライドの高い絢永でさえも認める実力の持ち主だ。  立場的に考えても、そう簡単に下手を打つような人間だとは思えない。 「……わかりました。俺でよければ、その囮捜査の囮として、人の心に巣食うあやかしを炙り出します。でも……」 「何だい?」 「どうして、俺が『引き寄せ体質』だってわかったんですか?」  栗丘は今まで、自分があやかしを引き寄せているなんて自覚したことはなかった。  周りにあやかしが見える人間がいなかったので、比較する対象すらいなかったというのもあるが、そもそも、あやかしに遭遇すること自体が数ヶ月に一度程度しかなかったのである。 「それはほら、君の胸ポケットに入っている子が証明してくれたんだよ」  御影が言って、栗丘はすっかり忘れていたその存在をハッと思い出す。 「そ、そうだ。こいつ! また忘れてた……。御影さんにこいつのことも相談しようと思ってたんです!」  言いながら、栗丘はわたわたと胸ポケットを探ってその獣を引っ張り出す。  
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